ひろさんのココンところ

いまだ人生に惑う事ばかり

積み本を崩す:その2「百鬼園随筆」

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えらく時間をかけてしまったまさに僕の積み本の中の積み本である。よく見たら、今はない地元の古本屋で買ったシールが残っている。少なくとも15年は積んでいた、というか、去年くらいから鞄に入れて気が向いたら読むようにしていたが、仕事に持っていっている鞄に入れていたら休みの日に出さないから更に本から遠のいてしまうのは分かりきった話で、結果更に遅くなってしまっていたのである。

時間がかかったのは全く自分の不得の致すところであって、断言しておきたいのは、この本は全く面白いという事である。

・・・あぁ、物を投げないで。

 

そもそも内田百閒という人の知名度はどれくらいなのだろうか。学校の授業で聞いた覚えはないなぁ。国語便覧にも載っていなかったのではないか。なんと読むかも最初分からなかった。

僕が最初に知ったのはとり・みきのマンガでくだんの謎を追っていた時。研究を進めていく過程がよく分かるマンガで、大学生や評論したい社会人にはうってつけではないかと思うのだが、その中で一コマだけで紹介されていた。

夏目漱石の弟子でありつつ、軍のドイツ語教師をしていながら、よくよく金貸しに金を借りる話が出てくる、まぁユニークな方である。

裏表紙に随筆ブームの火付け役みたいな事が書いていて、ユニークな方の随筆が面白くないはずがないのだが、明治の文豪と軍人のイメージはむしろ邪魔だった。

短い話ばかりなので、是非色んな人に読んでもらいたい。

琥珀』という、巻頭の作品が、本当に3ページくらいしかないのだが、メチャクチャ面白いというか好き。

 

文章の書き方のお手本みたいな随筆集だと思う。

現代でも通じそうなポップさもありつつ、文章の端々から時代的なおおらかさというか牧歌的な雰囲気を感じて、味わえるのが素晴らしい。